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<スイスにおけるベーシックインカム国民投票への動き>
*下記は2014年1月に、スイス・バーゼルでの連帯集会に参加した時の報告です。周知のように、その後、2016年6月に国民投票が行われ、反対多数で否決されました。国民投票のための署名集めに成功した運動体は、国民投票へ向けた動きを通じて、ベーシックインカムについて知ってもらうこと、ベーシックインカムが投げかける問いについて考えてもらうことを、目標にしていました。その点について、目標を達成したという手応えを感じているようです。運動体の中心にいたエノ・シュミットさんを、2017年4月に京都に招聘予定です(詳細未定)。[2017年1月追記]
<スイスでベーシックインカムの是非が国民投票にかけられることになった。その運動を進めてきたジェネレーション・ベーシックインカムのエノ・シュミット(Enno Schmidt)さんの招きで、スイス・バーゼルを訪れ、スイスや隣国ドイツの活動家たちと交流する機会をもった。以下はさしあたりの、簡単な報告である。(文責:山森亮)>
まずは、シュミットさん作成の短編ドキュメンタリーをご覧下さい。
黄金の10月
これは、2013年10月に、12万人分の署名をスイス議会に提出する際に、象徴的に大量のコインを議会前に持ち込んだシーンである。
スイスでは、直接民主主義の仕組みとして二つの種類の国民投票がある。(スイスの国民投票の仕組みについては、http://www.swissinfo.chに簡潔な説明動画がある。)そのうち憲法改正に関わるものは、10万人以上の署名を18か月以内に集め、議会に提出しなくてはいけない。今回ジェネレーション・ベーシックインカムの活動は、この仕組みを使ったもので、憲法を改正して、ベーシックインカム条項を書き込もうという提案だ。
少人数で始まった署名集めは、最終的には数百人が自発的に署名集めに加わり、必要最定数の10万人を上回る約12万人の署名を集めることとなった。今後数年の間に、議会はこの提案を国民投票にかけることとなる。
実際の署名集めの様子については、おなじくシュミットさん作成のこちら:
ヴァルプルギスの夜祭
バーゼルでは、わたしも参加している「ベーシックインカム京都」の(というよりソーシャルキッチンの、というべきか)アート・アクティヴィスト、須川咲子さんと共に、ジェネレーション・ベーシックインカムに参加した人々と、短時間ではあったが交流をする機会をもてた。この詳細はまた近いうちに、追加したいと思う。
最後に、この旅と交流を可能にしてくれた人々に謝意を表したい。まず、名古屋の哲学者、別所良美さん。そしてドイツのベーシックインカム論者で企業家のゲッツ・ヴェルナーさん。じつはことの発端は、別所さんが「ベーシックインカムの哲学的意義についての日独共同研究」をされる中で、ヴェルナーさんを日本に呼ぼうとご尽力されたことに始まる。ヴェルナーさんの来日は諸般の事情で叶わなかったが、代わりにヴェルナーさんはスイスでの国民投票への動きを支援する意味を込めて、スイスで日独会議を開くことを提案された。結局、2014年1月22日にドイツ・ボン郊外のアルフターのアラヌス美術大学で、24、25日とスイス・バーゼルで、「ベーシックインカムの哲学的意義についての日独共同研究」にかかわる会議が行われた。アラヌス美術大学では主催のザシャ・リーバーマンさんにお世話になった。バーゼルでは前述のシュミットさんとともに、ビルギット・エベルBugit Ebelさんにもお世話になった。